海から近い住宅で給湯器を長く使い、安定した性能を保つためには、塩害からしっかりと保護することが不可欠です。塩害とは、湿気や塩分が原因で内部が腐食を引き起こし、故障や効率の低下を招く厄介な被害のことです。そこで本記事では、給湯器を塩害から守るための効果的な対策について解説します。
塩害とは
塩害は、海沿いの地域で特に多い自然被害のひとつです。海水中の塩分は、風に乗って内陸にまで広がり、作物や建物にさまざまな影響を及ぼします。
具体的に海の塩は、建物の外装や金属部品などに付着することで、劣化や腐食を引き起こすのです。海の近くに住む人々は、この問題によく直面しますが、ほかの地域でも条件が揃えば塩害の被害にあう可能性があるので注意が必要です。
そして塩害被害は、建物や構造物だけでなく、給湯器などの家庭用具にも深刻な影響を与えます。給湯器は金属製の部品を多く含んでおり、これらの部品が塩分にさらされると、腐食が進行して性能が低下します。長期間にわたって海風や潮風にさらされた場合、給湯器の寿命が短くなる可能性も。
このような塩害から給湯器を保護するためには、定期的なメンテナンスや防食処理が不可欠です。
耐塩害仕様の給湯器について
海沿いや塩害の強い地域では「耐塩害仕様の給湯器」を検討することをおすすめします。これは、前板と本体に耐塩害塗装を施し、耐腐食性を向上させている給湯器のことです。
また、排気ダクトなどには防錆や腐食処理が施されており、海の塩分による影響を最小限に抑えます。
さらに、メーカーによっては耐塩害仕様の給湯器には耐熱性や耐酸性を高めるためのコーティングを施している給湯器もあります。これにより、海水や海風による腐食や劣化から給湯器を保護することが可能です。
なお、各メーカーが提供する耐塩害仕様の給湯器を比較する際には、耐塩害性能だけでなく、耐久性やメンテナンスの容易さなども合わせて考慮しましょう。
耐塩害仕様の給湯器を設置すべき地域
海からの距離が近ければ近いほど耐塩害仕様の給湯器を選ぶことをおすすめします。具体的には、海から300m未満の場所では耐塩害仕様の給湯器を強くおすすめします。
また、海までの距離が300m以上1km以内の場合も、塩分の影響を考慮して耐塩害仕様の給湯器を選択することが望ましいでしょう。
納期や費用について
耐塩害仕様の給湯器を導入する際、通常の給湯器よりも納期が1ヶ月程度長くなる場合や、通常の給湯器よりも高くなることが多いです。また、本体価格や設置価格とは別に追加費用が必要となることがあります。たとえば、大手メーカーの場合でトータル約13~18万円を目安としておきましょう。
しかし、これらの価格はメーカーによって異なる部分なので、各メーカーのカタログをチェックしてください。
これらの費用と手間をかけることで、将来的な故障やメンテナンスコストを大幅に削減できます。給湯器の故障や劣化が発生する前に、はやめにメーカーに相談し、適切な耐塩害仕様の給湯器を導入することが重要です。
給湯器を塩害から守るためにはどうしたらいい?
給湯器を塩害から守るためには、耐塩害仕様品の給湯器を設置しただけでは安心できません。日々のちょっとしたメンテナンスが大切です。以下で3つのポイントを紹介します。
設置場所の重要性
まず、給湯器は建物の風下に設置し、直接潮風に当たらないようにしてください。
もし、家の構造的にどうしても風上に設置しなければならない場合は、塀などを設置して防風処理を施し、給湯器に直接潮風が当たらないようにしましょう。また、水はけの良い場所に設置することも大切です。
定期的に給湯器を拭く
定期的なメンテナンスも欠かせません。定期的に給湯器を拭くだけでも、給湯器に付着した塩分を取り除けます。このようなちょっとしたことでも、給湯器の寿命を延ばし、劣化を防ぐことにつながるのです。
給湯器の性能や耐久性を保つために欠かせないことであり、このとき外壁なども一緒に掃除すると外壁の寿命を伸ばすことにもつながるのでおすすめします。
使用状況や周囲の環境を定期的にチェック
耐塩害仕様の給湯器は納期まで時間がかかるので故障してからでは生活に支障がでてしまいます。そのため、給湯器の使用状況や周囲の環境を定期的にチェックし、異常がないか確認することも重要です。早期に問題を発見し、修理や交換をおこなうことで、より長いあいだ給湯器を安定して使用できます。
このように、給湯器を塩害から守るためには、日頃からの注意と定期的なメンテナンスが不可欠です。耐塩害仕様の給湯器を設置した場合でも、これらの対策を講じることで、給湯器の性能と寿命を最大限に引き出せます。
まとめ
海の近くに住む人々にとって、耐塩害仕様の給湯器は頼りになる存在です。耐塩害仕様の給湯器の導入は、塩害からの保護に有効な手段です。しかし、単に導入するだけではなく、給湯器を塩害から守るためには、設置場所や定期的なメンテナンスが欠かせません。建物の風下に設置し、風上に置く場合は防風処理をおこなうことが重要です。
さらに、定期的な給湯器の清掃や塩分除去をおこないましょう。また、給湯器の劣化や故障を防ぐため、常に給湯器の状態を確認し、適切な対策を講じることも大切です。
以上のことから、耐塩害仕様の給湯器を導入することは、塩害からの保護に一役買いますが、それに加えて適切な設置場所の選定と定期的なメンテナンスが、給湯器を長持ちさせる鍵となります。